Mind Interview07「ここでよかったと言わせたい。」 髙田香織 マネージャー

Index

  • 01パンチの強いお客さま
  • 02この新郎様に言わせたい
  • 03バルーンリリースの意味
  • 04パーティーが見たい
  • 05担当だけがわかる「感覚」

パンチの強いお客さま

しきたりは蒲鉾で鯛

髙田さんのお仕事の内容を教えてください。

髙田お客様と打合せを重ねてプランを練り、式の当日までお手伝いします。

印象深いお客様はいらっしゃいましたか?

髙田実は、私のキャラクターや経験年数を反映してか、「新人さんではちょっと対応しきれないのではないかというお客様」の担当になることが多いんです。「ちょっとパンチの強い方」というか(笑)。わかりますか?

なんとなく、ですが(笑)。

髙田「剛速球を投げるお客様」を受け持ちます(笑)。腕の見せどころは、そのご要望を「いかに上手くコントロールするか」なんです。でも言うのは簡単ですが、なかなか難しいですね。式へのこだわりもすごく強く、言いたいこともいろいろ言ってこられるだろうなというお客様ばかりですので。また、「親御様の関与度」がとても高い方の担当になることもあります。例えば、富山県ご出身の方ですね。富山県は結婚式を豪勢にされる方が多いので。

そうなんですか?

髙田はい。引き出物も豪華で。「蒲鉾の鯛」や「蒲鉾の打ち出の小槌」などがついてきたりと。

そういうしきたりがあるんですね。

髙田はい。地方の方はしきたりに重きを置かれる方も多いので、「新人さんよりはベテランに担当して欲しい」という指名をもらって打合せを始めたお客様だったんです。まあ、やっぱり初めてお会いした時に、なかなかの方だなというお客様がいらして(笑)

それは、新郎ですか? 新婦ですか? 

髙田新郎様、ですね。新郎様が石川県のご出身で、新婦様は富山県でした。

髙田さんご自身は富山県出身ではないですよね?

髙田はい。ですが、過去に富山県の方を担当したことがあったので。

なるほど。

髙田なので、富山県というご住所を見ただけで「あ、蒲鉾のオーダーが来るな」って思っていたのですが(笑)。案の定、打合せでその話も出てきて、「あ、存じております」とお話を伺っておりました。新婦様は基本的にあまり喋らず、振られれば「うん」とお答えになるぐらいの方でした。ですが、新郎様が、私が話す言葉に、かぶせ気味に「はいはいはいはい」って言って返事をしてこられる様な、とても頭のいい方だったので。

Chapter02 この新郎様に言わせたい

「ヒントは沖縄好き」

頭が回る方?

髙田はい。ある程度理解したら、話をみなまで聞かずにポーンと答えを先にお返事をされてしまうような方でした。それで間違っていても、訂正しにくい感じになってしまいまして(笑)。その場は流して、後からちょっと訂正させていただいたりというのが、もうずっと続いた形になってしまったんですけど。ただ、打合せ自体は普通に進み、打ち解けたお話もさせてはいただいておりましたが、そういう方、「そういう方」って言ったら大変恐縮ですけど、式へのこだわりが強かったり、親御様の関与がとても強いお客様は、普通に喜んでもらうだけでは恐らく足りないんだろうなと思っていました。普通に「良い結婚式でした」で、終わるだけじゃなくて、「本当にここでやって良かったです!」とか「髙田さんにやって貰って良かったです!」と仰っていただけないといけないなと。

そう、髙田さんが思い込んだんですね。

髙田そうなんです。出していただきたかったんです。その一言を。

「絶対言わしてやる!」みたいな。

髙田はい。それは自分の中でのノルマで。

ノルマだったんですね。

髙田はい。もう「この新郎様に言わせたい!」っていうことで、ちょっとメラメラしてしまって(笑)

仕事魂ですね。

髙田そうですね。なんか燃えてきて(笑)。実は、その新郎新婦様が沖縄好きで、「沖縄を式のテーマにしたい」というのを伺ってたので、試食会前に社内で一応情報共有はしておりました。そのお二人が試食会に来られたときに、テーブルについたサービス担当者が沖縄を大好きだったんです。自分の結婚式でも奥様が琉球硝子で出来たブーケを持たれたようなそれぐらい沖縄好きなスタッフだったんですね。アシスタントの女の子も沖縄出身の子で、その人たちがグッとサービスに力を入れてくれて。

朝からぽろぽろっと泣かされて

お客様とも意気投合できたと。

髙田はい。もう「沖縄のどこ出身で~」とか、方言の話だったりとか、あと「シーサー手作りするなら、何処の工房がいい」とか、そんな話までとても盛り上がっているので、私が話に入れないぐらいでした(笑)。そこから「キャプテンはこのサービスの人が良い」「当日もこの沖縄出身の子には絶対パーティに入って欲しい」とご要望をお伺いしました。もうそれが皆嬉しくって。そのキャプテンがすごく気を利かしてくれて、結婚式一週間前ぐらいにわざわざ海まで行って来て、「海の砂」を持って帰ってきてくれたんですね。そして、その砂を敷き詰めて、可愛い星の砂で「Happy Wedding」と二人の名前を入れて大きいウェルカムボードのようにあつらえてくれたんです。サービスマン全員が砂を取りに行くところからやってくれて、全部ザルで砂を濾してくれました。

京都の海ですか?

髙田いえ。神戸の須磨の海岸で取って来てくれたんです。沖縄のオリオンビールも、その沖縄の出身の子が実家から送ってもらいました。人数分のかりゆしウェアのTシャツも(笑)

沖縄特産のシャツですよね?

髙田そうです。当日のお出迎えから私たちがかりゆしウェアのシャツを着ていたら、お二人のテンションも朝から上がるだろうと。

まさに「めんそーれ(沖縄の方言で「いらっしゃい」の意)」ですね。

髙田はい。皆で買ってきたシーサーの置物もミニテーブルに置いて、レイも首から掛けて皆で朝から並んで待ちました。沖縄の海の写真に、キッチンのメンバー、サービスメンバー、アルバイトのメンバーまでもがメッセージを書き込み、スタッフ全員の想いを一つのメッセージに集約したのですが、新郎新婦がめちゃくちゃ喜んでくださって、砂のウェルカムボードもそうですし、ご来館と同時にそれを見せたんですけど、泣いて喜んでくださって、はい。

式の開始前に泣かせましたね?

髙田はい。新婦様が泣きました。ぽろぽろっとなられて。

すごい。お客様も大満足ですね!

髙田そうですね。そして、私たちスタッフも「今日は大丈夫かな」と朝から安心できました(笑)「皆でやりきった感」もとてもありましたね。今もそのお二人とはずっとお付き合いが続いています。

Chapter03 バルーンリリースの意味

「私、今幸せだよ」

他に思い出に残っているお客様はいらっしゃいますか?

髙田新婦様のお父様が他界をされている方です。お二人の交際をご存知のお父様で、「いつ結婚するんや」というお話をいつもされていたとお打合せの中で伺いました。

間に合わなかったんですね。

髙田そうですね。「お父様がいよいよ危ない」ってなったときに、新郎様が初めて病院に挨拶に行って、病院でご挨拶をされたそうなんですけど、そこから半年も経たずにお父様が他界されて、その一年後ぐらいに結婚式をされました。その話を伺っておりましたし、ムービーとか写真とか事あるごとにそのお父様が登場されますので、相当「お父様好き」というか、「お父さんっ子」だったんだろうなと。なので、「では、お父様にこの報告を何かしらの形で、仏壇の前だけじゃなく、結婚式の当日にちゃんとしたいですね」という話を打合せの中でして、その後ご提案して採用されたのが「バルーンリリース」なんです。「風船を空に飛ばす」という、一見楽しく女性好みで、結婚式と言えばというような、どこの会場でもよくある演出なんです。でも、もともとのバルーンリリースの起源は「他界された親御様、天国にいらっしゃる親御様へのご報告」なんです。

なるほど。楽しいだけじゃないんですよと。

髙田はい。風船に乗せて「私、いま幸せだよ」という報告をすることなんですね。

それが元々の意味だと。

風船に結びつけた大麦

髙田はい。「本来はそういう意味があるんですよ」というお話をして、「だから、天国にいらっしゃるお父様に風船にメッセージか何かをつけて飛ばしてご報告しませんか」とお話をしましたところ、新婦様は「泣いちゃうからいい」と遠慮されてました。新婦様のお母様も「うちのことやからいいです」と仰ってたんですけど、新郎様が「お父様にご報告させてあげたい」と仰ってくださって、新郎様のお気持ちで実現することとなりました。亡くなったお父様はお酒が好きだったと聞いていたので、一番好きなお飲み物を伺ったらビールだったので、風船の紐に大麦をつけて(笑)。「天国でもビール飲んでね」って言って飛ばしていただきました。それはゲストの方々からもとても好評でした。

お父様をよく知っているゲストの方もいっぱいいらしたわけですね。

髙田そうですね。特に新婦様側は。

忘れられないですね。その現場は。

髙田そうですね。その方は本当に忘れられないですね。

Chapter04 パーティーが見たい!

見るからに新人?

こういったご経験をされて、髙田さんが学んだことって何ですか?

髙田これもまた昔話になりますが、過去働いていた一社目、二社目は今の会社のように「お客様上位」という風に教えられて来なかったんですね。一社目はホテルだったんですが、そこでは「ブライダル」よりも「宿泊」がありますし、そんなにブライダルのチーム自体が注目されていないというか、そういう環境で育ったんです。だから、お客様お二人のことも興味はもちろんあるんですけども、二十歳そこそこの就職したてで打合せの仕方を教えてもらっていなかったので、「お客様お二人のことを知る時間」というのがなかったですし、式の作り方もわからなかったです。

お客さまに「どこまで踏み込んで聞いていいのかな」っていうのもありましたか?

髙田そうですね、ありました。

プライバシー情報ですからね。

髙田「踏み込むライン」がわからなくて。世間一般の適齢期の方からどう見ても年下の、二十歳そこそこで、もう見るからに新人っぽい私でした。なので、どちらかというと、二十代の方よりも、三十代から四十代の方に、とても可愛がっていただいて、お客様に助けられてきました。ですが、二社目に移った時に「二年半経験を積んでいる」というだけで、たった二年半ですけど、その会社ではかなり「ベテラン扱い」になってしまって。

知らなかった「猫好き」

プレッシャーですね。

髙田打合せが、お客様がどんどん舞い込んで来る。でも、「打合せスタイル」といっても、当時の私は「ホテルのスタイル」しか知らなかったので、戸惑いもすごくありました。お客様の内情を突っ込んで伺うやり方やタイミングがわからないまま、ただ件数だけが多くなり「とりあえずどんどん回さねば」と。その時に今でもよく覚えているお客様がいます。自分でご契約をいただいて、当日まで全部やり遂げたお客様でした。そのお二人が帰られる時にお見送りをしていたら、自分の母親よりも年上の五十歳前後ぐらいの介添えについてくれた方が、お二人のお世話で一日一緒にいる時間が一番長い方なんですが、お二人が帰られる後ろ姿を見て「ほんまに良い子らやった」っていうことを仰った次に、「あの子ら、猫大好きやねんなあ」って仰って。私は猫好きって知らなかったんですね。お二人のこと。

それを打合せで聞けてなかったと。

髙田一年ぐらいですかね。お付き合いしてお話を聞いてきたのに「猫好き」っていうことさえ知らなかったと思って。なんか、本当にお二人に申し訳ないなあってその時思ったんです。ある程度のことは知ってても、全然知らなかったんだなあっていうのがとても……。

悔しいですね。

髙田悔しかったですし、淋しかったです。たった一日数時間一緒に居ただけの方に、それを言われたことも淋しかったですし。

「完成形」が見られない

介添えの方には話されていたと。

髙田「新居に移り住んだら、猫を五匹以上飼うって言うてはったよ」とか言われて、「ああ、それも知らなかったなあ」っていうのがあって、その「帰って行かれるお二人の後ろ姿」がもう本当に今でも目から離れない。頭から離れなくって。だから、そうなってしまう打合せやそういうお付き合いって駄目だなっていうのをすごく考えさせられました。だから「ちゃんと打合せができるプランナーにならないといけない」と思いましたし、そういう環境に自分が移ろうと思って、それで会社を変えて3社目に転職しました。確かに、そういう「打合せの仕方の勉強」は出来たんですけど、でもやっぱりその会社もすごい件数で。「とりあえずどんどん打合せをしよう」「どんどん数を取れ」ということで。

「こなして、回して」という感じですね。

髙田はい。「回すことがよし」だったので。二年プラス経験が積まれて来たので、さらにもうどんどん件数だけが降ってくる。次々に8件から10件持たされる。もう「婚礼」でなく本当に「流れ作業」になっちゃうような。当日の式も見られないですし。

見られないんですか?

髙田はい。見られません。もう完全にもう社内で担当を移行してないといけないので。当日は「サービス」の担当者の管轄なんですよ。

なるほど。

髙田結局「パーティー会場に入っちゃ駄目」って言われるんですね。「そんな暇があるんなら打合せをしろ」という会社だったので。

分業なんですね。

髙田そうです。完全に分業制です。「こなすためのシステム」がとりあえず出来上がっていました。確かに「きちんとしたヒアリング」もできますし、今までよりお客様お二人のことも良く知ることができるようにはなったんですけど、ただ、「完成形」が見られないんです。打合せをしてきた最後の良いシーンも二人のドレス姿も見られないですし。

見たいですよね?

髙田はい。今まで時間かけて打合せてきた披露宴がどんな風に完成したのかは見たいです。

Chapter05 担当だけがわかる「感覚」

嫌いになりかけたブライダル

でも、見られないから?

髙田お二人の反応もわからないですし。そうやって、素の自分が「なんか違うな」と考えながらも勤め続けていたのですが、あるとき「もう無理」となってしまいました。本当に「ブライダルが嫌いになりそう」というか、「ウェディングは好きだけど、この会社に居たくない」という思いが大きくなって、「もうブライダルを辞めてしまおう」とまで思ったんです。でも、「ALL FOR ONE.」ではお客様と本当に向き合える時間も長いですし、自分が打合せしてきたこと、考えてきたことが、当日お客様と一緒になって見られます。一緒にその時間を過ごせることが一番大きいです。

完成形が見られるということですね。

髙田はい。一番幸せだと思います。担当者としては。

当日見られるようになってどうでしたか?

髙田提案してきたことが成功してお客様が喜んでいる顔っていうのは、今まであまり見てこなかったので。ゲストの良い反応や「あ、これウケへんかったな」のも、わからずで(笑)。

「あれほど打合せでは盛り上がったのに?」

髙田「意外と無理やったな」みたいな(笑)。

担当者としての幸せ

髙田今まで分業で任せていたのが、もう自分が逆にコントロールをするぐらい。インカムで全部指示を飛ばして。

現場のキャプテンたちと、ということですよね。

髙田そうですね。主要メンバーはもちろん、アルバイトのメンバーも何人かはインカムを付けているので、「こういう情報が入ったから、こうして欲しい、ああして欲しい」「ちょっと今時間があるから、お二人こういうふうに移動しよう」とか、もうどんどん話します、より良く出来るように。お二人が求めるものとか、イメージされてるものって、やっぱりいくら皆さんと共有しても、共有しきれないというか、「担当プランナーである私にしかわからない感覚値」というのがやはりありまして。

そのためにずっと打合せしてきた?

髙田そうですね。どういうところで喜んでくれて、どういうものはあんまり響かなくってというのをやはり一番わかってるのは担当プランナーだと思います。ずっと引き継いで担当してきたことによって、ちょっとした指示をよりプラスアルファで指示が出せたりできますし、「お二人の小さな表情の変化」にも気づけます。だからなのかと思うのですが、この会場は本当にクレームがなくって。

そうなんですか?

髙田できて二年ですけど、おそらく片手に収まっているのではと思うんですよ。大きなクレームというのは。会場のオープン当初は通常どこも「クレーム続き」で、もう後手後手に回るものです。支配人はずっと謝りに行くか、謝罪の電話ばっかりしているとか。他のオープンしたての会場ではこれまでそういう経験ばかりだったんですけど、この会場ではクレームが全然ないんですね。というのは、恐らくご契約から当日まで一人の担当者で、当日の小さなお二人の表情の変化にも気付けて、事前に打合せしたことと異なっても、一瞬で指示を出して、全員がその場に合わせた対応が出来たりできるからではないかと。

臨機応変に動けるということですよね。

髙田そうですね。恐らくそういったところも大きいんだろうなと思います。

御社のチームワークはやはり良いんですか?

髙田そうですね。本当に良いと思います。

全社的に。

髙田はい。良いと思います。その時間には一組のお客様しかパーティーされてないので、全員が集中できる点もありますし。

いくつも同時に行っている会場もありますが?

髙田今どこで何が起きてるかわからないんですよね(笑)。

なるほど。となると、やはりご希望通り、式当日まで見届けられるプランナーになれてよかったですね。

髙田はい。担当者として本当に幸せです。

「ここでよかったと言わせたい。」髙田香織

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