Mind Inerview04「人は人に会いに行くんです」竹下秀喜 料理長

Index

  • 01 反応を見たい!
  • 02 予想もしない「リクエスト」
  • 03 食材に「失礼」!?
  • 04 「良い式」を作るには?

Chapter01 反応を見たい!

「星」を獲った仲間

竹下さんのお仕事の内容を教えてください。

竹下私は「ヒューリ カモガワテラス」で料理長を務めています。

元々、ブライダル業界でご活躍されているのでしょうか?

竹下シェフとしてのキャリアをスタートしたのは大阪のホテルでした。そのホテルでは10年程働きましたね。

この業界に転職されたきっかけは?

竹下現在「ALL FOR ONE.」のグランシェフである水口一義との出会いが、ブライダル業界に転職することになったきっかけです。私が働いていた大阪のホテルは、東京にも支店を持っていまして、その東京の支店へ2ヶ月ほど「ヘルプ」に行ったのですが、そこで水口と出会ったんです。

水口さんはミシュランでも星を獲ったことのあるシェフですね?

竹下そうです。そしてその時に、水口の料理に感銘を受けて、それ以来ずっと一緒にやっています。水口とともに、ブライダルの数社に勤務した後、「ALL FOR ONE.」へ入社したわけで、今では20年くらいの時間を水口とともにしていることになりますね。

「笑顔」が見たい

シェフという職種は、お客様に直接お会いする機会はあるのでしょうか?

竹下ご成約されたお客様と「試食会」でお会いすることがあります。試食会というのは、私たちが作っている料理を、お客様に食べていただいて、どのようなコースにするかを決めるというものです。

そこでお客様とお会いするのですね。

竹下そうですね。お食事を終えられた後、「いかがでしたか?」と感想を伺います。もし「こんな風にしたい」というお客様のご希望があれば、それに合わせた料理を考えたりもします。

式当日にお客様と接することはないのでしょうか?

竹下「デザートビュッフェ」という最後のビュッフェがあるんですけど、その時には披露宴会場に少し顔を出すこともあります。

お客様の反応を見たい時は?

竹下披露宴会場で、サービスのスタッフと連携して様子を確認します。

式が終わった後にお客様に会うことはありますか?

竹下それももちろんあります。やはりお客様に笑顔で帰っていただくととても嬉しいですね。「やり切った」と感じられます。

終わった後にお客様にご挨拶はされているのですか?

竹下状況次第ですがご挨拶はしています。別のお客様の式の予定が直後に入っていて、立て続けに料理を準備しているときは難しい状況ですけど。

お客様からの呼び出しはありますか?

竹下そういった場合もあります。でも、一緒に打合せしたお客様であれば、呼び出されなくとも、少し強引にでもこちらからご挨拶に伺います。

竹下さんから行かれるのですね。

竹下そうです。やっぱり、直接打合せしたお客様には思い入れがあると言いますか、料理も覚えていますので。

Chapter02 予想もしない「リクエスト」

デザートにたこ焼き!?

先ほど試食会のお話がありましたが、披露宴で提供する料理は必ずお客様と決めるのでしょうか?

竹下「おまかせ」の場合もありますが、お話ししてお客様の希望を伺っています。コースが4つありますので、そこから選んでもらったり、リクエストを元にメニューをアレンジすることもありますね。

リクエストとは、どのようなものなのでしょうか?

竹下「新郎新婦の思い出に残る土地」に関連したメニューにしたり、その土地の食材を使ったりといったことですね。例えば、イタリアに旅行へ行かれてこういう思い出があるので、といったリクエストをもらったことがあります。

忘れられないお客様のリクエストってありますか?

竹下私たちはお客様と打合せをして、リクエストをヒアリングするわけですが、最後に「デザートをたこ焼きにしてくれ」というリクエストが出たのはとても驚きました(笑)。

たこ焼きってデザートになるんですか(笑)。

竹下もちろんたこ焼きはデザートじゃないんですけども、「たこ焼きのようなデザート」を作って欲しいということだったんです(笑)。

たこ焼きにこだわる理由があった?

竹下お客様が大阪の方だったんです。それで「思い出に残るもの」をっていうことでしたね。

実際にはどうされたのですか?

竹下小さなシュークリームを作って、チョコレートでコーティングをしましたね。それを6個くらい並べて爪楊枝を刺しました(笑)。

新郎新婦は、事前に「デザートたこ焼き」を見ているのですか?

竹下そうですね。事前に一度「こちらでいかがでしょうか?」と食べていただきまして、お二人のOKをもらって、当日提供しました。

簡単に断りたくない

参列者の反応はいかがでしたか?

竹下それはもう驚いていましたね。「ええ!? デザートはたこ焼きかいな!」みたいな感じです(笑)

お二人にも満足していただけたのでしょうか?

竹下とても喜んでもらえましたね。「みんなのサプライズの顔が見られて嬉しかった」と。

お二人はみんなの「驚いた顔」が見たかったんですね。「デザートたこ焼き」を作られてみていかがでしたか?

竹下なかなかない珍しいリクエストで、最初は「えっ? 本当にやるの?」と思ったのですが、なんとか形にしようと考えてやっていくにつれて、どんどん楽しくなりましたね(笑)

なかなかできない体験ではありますよね(笑)。

竹下「予想もしないリクエストが来たら、こう返していく」っていう自分の糧にはなっていると思いますね。どうやら、私はそんな状況も楽しめる人間のようです(笑)。

他にも似たようなリクエストがあったのでしょうか?

竹下マリアージュというケーキがあるのですが、「マリアージュをお好み焼きで作ってくれ」と言われたことはありますね。他にも「ちょっとした仕掛けを作って欲しい」というようなリクエストは結構あります。

お客様のことを第一に考えるからこそできるサービスですよね。

竹下どうしても実現が難しいリクエストをいただくこともあるのですが、それでも形を変えて「これはいかがですか?」と、極力お客様のリクエストに近い、実現が可能なものを提案いたします。

「実現出来ないから断る」のではなく、別の提案をいただけるというのも、お客様にとっては嬉しいことですね。

竹下やっぱり一生に一度の結婚式なので、私たちも一緒になって全力でやっていかないといけないと思っているところはありますね。

Chapter03 食材に「失礼」!?

料理人としての喜び

前の職場と比べて、印象に残っていることがあれば教えてください。

竹下以前の会社では、関東にいくつもある会場すべてを管理して、指導するような立場でした。だから、調理場に立つ機会も多くありませんでした。しかし、私は元々料理人です。やはり「料理を作りたい」という思いを強くもっています。そして水口の料理が大好きですから、その水口の下で直接勉強し、料理ができる今の環境をとても嬉しく思っています。これは前職ではできなかったことですね。

「ALL FOR ONE.」ではどのような体制でスタートされたのでしょうか?

竹下水口がグランシェフで、私と他に2人、4人体制で始まったんです。基本的な仕込みを含めて、ゼロから料理を思いっきり出来るような環境になって、とても嬉しかったですね。当たり前のことですが、お客様へは本当に真剣に料理を提供しています。

お客様からの反応はいかがでしょうか?

竹下「シェフに美味しいと伝えて欲しい」という声をサービスのスタッフが調理場まで伝えてくれることがあります。伝言にはなりますが、そういった声を聞くとやはりテンションが上がりますね。

食材を使い切る

シェフの喜び、ですね。

竹下この仕事をしていてよかったと思えますし、仕込みの段階から、少しでも手を抜いてはいけないんだと改めて確認することができますね。ひとつでも手を抜くとお客様に大変失礼です。そして、食材にも失礼だと私たちは思っています。「食材に失礼」というのは、その食材の生産者に失礼であるという意味で。農家さんですとか、漁師さん、それを届けてくれる方がいらっしゃって、多くの人の手が加わって、最終的に私たちが料理するんです。そして、やはり命があるものですから、粗末にしてはいけないというのを、毎回感じますね。私たちは、例えば魚の骨とか、野菜の皮はすべて使い切ります。野菜の皮であれば、ブイヨンを取ったり、魚の骨やアラであれば、ソースを取ったりするんです。

ゴミもほとんど出ないのでしょうか?

竹下最終的には、どうしてもゴミとなってしまう部位はありますが、食材としては最後まで使い切っていますね。やっぱり食材に対しての有難みを感じていますので、その食材の有難みを「私たちの自己満足」というわけではなくて、お客様にも感じてもらえたら嬉しいですね。

Chapter04 「良い式」を作るには?

最後に、今後目指していくこと、心掛けていきたいことを教えてください。

竹下まず、私個人の「人間力」を上げたいと思っています。私は「ALL FOR ONE.」の人間ですが、自分自身が成長しないと結局のところ何も周りの仲間に教えられないと思っていますので。

会社を成長させるには、まず「自分の成長」が必要だということですね。

竹下その通りです。若手のスタッフ、年下でなくとも周りのスタッフとの関わり方一つとっても料理に影響するんです。「愛情がある結婚式」という「モノづくり」をしているわけですので、中途半端なモノではお客様に伝わってしまいます。

気持ちが伝わる。

竹下料理って、愛情注いで作ればそれだけ美味しくなるんです。決まっていることを当たり前にこなすだけでは、何も伝わりませんが、やっぱりお客様のことを考えながら作ると、美味しくなるんですよ。

それは料理も式も同じだということですね。

竹下そうなんです。ですから、まず私が周りのスタッフに気持ちを伝えなければ成長はないと思います。言葉遣いひとつでも例外ではありません。スタッフに対して愛情持って接すれば、その気持はスタッフたちに伝わって、スタッフも成長します。そして、それがお客様にも伝わるんじゃないかなって思うんです。

その気持ちが「良い式」につながるわけですね。

竹下スタッフに私がよく言うことなのですが、例えば「どこかの料理屋に行きます」とか、「あそこの洋服屋さんに行きます」という際に、「じゃあなんでそこに行くのか?」って考えると、行き着くのは「人」だと思うんです。「人に会いに行く」と思うんですよね。「あの人の料理を食べたい」とか、「あの人の洋服が見たい」とか、結局は人と会って話をして、そういうような繋がりがドンドンできてると思っています。

その通りだと思います。

竹下そういったスタッフがたくさん生まれれば、お客様も打合せの時に、自然と「あ、この人とはやっていけるな」とか「この人にお任せしたいな」と思ってくれると思うんです。スタッフ全員がそう思われるようになればよいと思いますね。

全員ですよね。

竹下そうですね。そういう意味では、私たちは同じ方向を向いていますし、その目標に対して皆で突き進んで、「ALL FOR ONE.」で何かを作り上げられると思っています。

「人は人に会いに行くんです」竹下秀喜

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